loader image
Close
file12

やってみたら、必要とされていると思えた

有限会社うおかく
Tsunoda Rei
福島県只見町出身。只見町で移動販売事業「ただみ ほほえみ便」を立ち上げ、地域の生活インフラを担う。

やってみたら、
必要とされていると思えた

元々は、店舗を構えて地域の人々が集う商店を営んでいた角田さん。現在は移動販売車で地域を周り、買い物の手助けと同時に高齢者の方々の見守りも行っています。

地域の方々の声と只見町のバックアップによって、移動販売という形態を取ることができたと話しますが、スタートさせる迄には迷いもあったと言います。

——「やらない方がいいかなって思ってた時もあったんですが、やってみたらやっぱり必要とされてるなっていうことを感じてきたので——、やって良かったなって思います。」

「買い物をするところがなくなってしまう——。」
これまで店舗に買い物に来てくれていたお客さんのそんな声をはじめ、地域で困っている1人1人の声を形にしていきたい、そうした願いが叶い、現在の移動販売に大きなやりがいを感じています。

——「お店にいた時とは違って、『待っている商売から自分から行く商売』なので、必ずお客さんがその時間にはいて、——必ず買い物して頂けるっていう安心感はすごくあるし、お客さんにも逆に喜んでもらえるし、——お店側からしてもすごくいいことだなぁと思います。」

戻るべくして戻って来た

只見町出身の角田さんは、高校を卒業後し上京。6年程東京で過ごした後に、只見町にUターンしました。その時、四季折々の美しい景色の移り変わりや、山の見える風景にとても落ち着く感覚を覚えたんだとか。

——「東京だったり都会だったり刺激があるところにやっぱり若い頃って行くんですけれども、行ってみたらその刺激がだんだん不安感に変わっていったところもあって。戻って来た時にすごく田舎って安心できるなっていう部分がすごくあって。そういうのもあって——、戻るべくして戻って来たのかなっていうところはありますね。」

自分がもともと育ってきた町だからこそ、都心での暮らしに比べて不便なところが多いのも承知の上だと話す角田さん。

——「たまに都会に行くと刺激はあるんですけど、やっぱり山がないのが寂しくて戻ってくることが多いですね。——本当に田舎が好きなんだなぁって感じます。」

笑顔や言葉に癒される瞬間がある

最初は不安も入り混じった気持ちでスタートした移動販売初日のことを、角田さんはこう振り返ります。

——「最初回った時に、みんな出て来てくれるかすごく不安だったんですが、玄関の前で『待ってたよー』って座って待っていて頂いたり、お宅にお邪魔するとお茶して待っていて頂いたりとかして——。」

——「この辺の人たちは本当あったかいんですよね。言葉ひとつにしてもそうなんですけれども、なんか癒されるなぁって。——そういうおばあちゃん達の笑顔だったり言葉だったりにすごく癒されるなぁって瞬間が結構ありました。」

初めは不安だったこともあったそうですが、日々の仕事を通して、奥会津の人々の温かさに触れ、笑顔や言葉に癒されている角田さん。この人と人との繋がり、温かさこそが、奥会津に住むことの心地よさでもあります。

——「この地域の人たちの本当に優しいところがすごく大好きで。移動販売で回ってるんですけど、5月からどれだけの野菜をいただいてるか。秋になった時には舞茸ひと株もらったんですよ! すごいなぁって、これだなぁって——。」

私の歳になっても、
まだまだできることはある

——「若い頃なかなか思い切ってできないことって多いと思うんですけれども、場所によってできることがあると思うので、田舎だからできる事にもできれば挑戦していただきたいなって思う。私の歳になっても、まだまだできることはあるよって——。」
もしいま、壁にぶつかっているのだとしたら、それはいまできることではないのかもしれません。年齢を積み重ねたり、異なるフィールドだったらなし得ることもある、角田さんの言葉からそんな勇気をもらえます。


——「一つのことをやり遂げるってこともすごく素敵なことだと思うんですけども、いろんなことに挑戦するっていうのも一つの手かなと思っています。」

知らない間に、
たくさんのお客さんに支えられてた

——「お店でやっていた時も、知らない間にたくさんのお客さんに支えられてたんだなっていうのはやってる時はわからなかったんですけれども。こうやって(移動販売を)始めてみて、これだけの人たちに支えられていままで出来てたんだなぁ、ということをすごく実感してる——。」

自身の経験を通して、「自分は一人じゃない、周りに支えられているということに感謝しながら、自分の経験や学びを力にどんどん挑戦していって欲しい。」そんな願いが角田さんの言葉には込められています。

取材:2021年12月
動画では、ここで紹介した以外にも、角田さんの思う奥会津らしさ、移動販売のお仕事のエピソードなど、さらに詳しいインタビューも収録。ぜひご覧ください。
play