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いろんな考えを持つ人が集まる事が、町のためになる

農家
Ando Masaaki
東京都出身。地域おこし協力隊として金山町に移住。農家として米栽培に携わる。

雪解けして、
新緑が芽吹いた時の春がすごく好き

——「東京に住んでた時は夏が一番好きだったんですが、金山に来て好きになった季節は春なんです。というのは、冬がすごく厳しい、雪もすごく降るし——。その中で、雪解けして新緑が芽吹いた時の春がすごく好きです。」

移住後の一番好きな季節についてこう話す安藤さん。地域おこし協力隊として金山町に移住し、現在は農家としてお米を栽培しています。

東京でのサラリーマン時代は、働くことの価値観に疑問を抱いていたと言います。
——「私、すごく満員電車が嫌いでして——(笑)、毎日通勤する時も満員電車にゆられ、会社ではストレスを抱えて仕事をして、退勤時も満員電車にゆられて帰るという——。なかなかその働き方というか、『働く』っていう価値観についてすごく疑問に思っていたんですね。そこまでして何を得たいのかなって——。」

こうした働き方に疑問を持つ中で、金山町出身の方と出会い、地域おこし協力隊の話を聞いて田舎への移住を決断しました。

子ども達に誇れる町を残したい

地域おこし協力隊も任期の終了が見え始めた頃、こんなことを思います。
——「自分で選んで来た町がこれから人口もどんどん少なくなって、なくなるかもしれない——って考えた時に、自分たちの子ども達の世代に誇れる町を残したいという考えがあって。」


——「停滞感と言いますか——、町を決めるのが一部の人だけで決まっているような感覚があったので——。その中で『移住者であり、町のことをよく知らない人でも手を挙げていいんだよ』ということを伝えていきたい——。」

今後、田舎ならではの閉鎖的な部分を変え、移住者を積極的に受け入れる空気や価値観を訴えかけていきたいと話します。

変わらないところ

——「変わらないところだと思います。」

奥会津に移住してから4年が経ち、落ち着いて地域を見渡せるようになると、地域の人たちの暮らしや自然の中に奥会津らしさが見えてきます。

——「日本の原風景や大自然、それが残っていることも変わらないことの一つですし、自分たちの地域は自分たちで守るんだっていう地域の貢献活動であったり消防団の活動だったり——、奥会津みたいな田舎にしかない伝統というか、文化だと思う——。」

まぁ、天気だからな

——「農業はやるべき時にやるべき事をやる仕事。」

農業という常に自然と向き合った仕事は自然との戦いであり、だからこそ難しい。天候や草など、自分ではコントロールできない自然の力と、上手にタイミングや折り合いをつけて向き合う必要があると言います。

——「やっぱり天気はしょうがないことなんです。『天』の『気』なんで——。でも会社は人の都合というか、会社の都合なんで。そこの部分では自分で消化して『まぁ、天気だからな』って——。」

そして、2021年から農家としてスタートを切った安藤さんが次にチャレンジするのは、農業と観光を掛け合わせた「農家民泊」。金山町が好きで金山町に移住してきた人が多い地域のため、そんな人たちで金山町をPRする目的で、若い人を中心に5、6人が集まって金山町農泊協議会を再興しています。

いろんな考えを持つ人が集まることが、
町のためになる

——「一つの仕事で生きていなかなきゃならないっていう価値観が都会ではあると思うんですけど、そうじゃなくて季節ごとでもいいし月ごとでもいいし、いろんな仕事が細かくあって。そういう仕事をしてもいいんだよっていうことをあらかじめ受け皿として用意してあげる——。」

東京でのサラリーマン時代、「働く」という価値観について正面から向き合った安藤さんだからこそ、多くの価値観を知り、仕事の多様性について多くの人に可能性を持って欲しいと考えます。

——「価値観を知る——。いろんなポジティブな生き方があっていいんだよっていう価値観を知るのはすごく大きな意味を持つと思ってます。これからの時代特に。その中でこうしなきゃいけないっていう考え方じゃなくて、いろんな人がいて、いろんな考え方を持つ人が集まることが、町のためになる。——帰ってきた暁には、一緒にいい町にしていきましょう。」

安藤さんは金山町の農家として、そして奥会津の人として、奥会津の次世代に向けこう語りかけます。

取材:2020年10月
動画では、ここで紹介した以外にも農業の魅力や、お米に関するエピソードなど、さらに詳しいインタビューも収録。ぜひご覧ください。
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