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節(せつ)とともに生きている
「民宿田吾作」女将
Sakai Fumi
酒井 富美
徳島県出身。「民宿 田吾作」の女将。徳島県より移住し、民宿業の傍ら臨時教員を務める。
山超えて谷超えて——。
やっと辿り着いたのが
この村だった
——「大したドラマはないんですけど——。」
南会津郡南会津町で民宿業の女将、建築業のお手伝いをしながら小学校の非常勤講師を勤める酒井さん。そう言って、移住するまでのさまざまな出会い、ご縁について話し始めてくれました。
大学卒業後に渡豪、帰国後に東京の野外教育関連のNPO法人と出会い、その中のイベントで初めて旧伊南村へ行ったのが奥会津との出会い。
——「私も四国の徳島生まれなので山に囲まれてはいたんですけど、こんなに山深い所に川が流れていて、あぁ村があるんだぁって——。東京から来たので、高速降りていくつも山超えて谷超えて、みたいな感じでやっと辿り着いたのがこの村だったって言うのがもう驚きで——。」
NPOの活動以外にも、東京で一緒にスタッフをしていた仲間たちと奥会津にたまに遊びに来ることがあったそうですが、当時は全く移住するとは思ってもみなかったと笑顔で話します。
——「ここは福島県なんですけど関東圏とも近いので、この地域で暮らしながら関東とも行き来できるかなって、安易な気持ちもあったんですけど——、伊南村に戻ってきました。」
南会津郡南会津町で民宿業の女将、建築業のお手伝いをしながら小学校の非常勤講師を勤める酒井さん。そう言って、移住するまでのさまざまな出会い、ご縁について話し始めてくれました。
大学卒業後に渡豪、帰国後に東京の野外教育関連のNPO法人と出会い、その中のイベントで初めて旧伊南村へ行ったのが奥会津との出会い。
——「私も四国の徳島生まれなので山に囲まれてはいたんですけど、こんなに山深い所に川が流れていて、あぁ村があるんだぁって——。東京から来たので、高速降りていくつも山超えて谷超えて、みたいな感じでやっと辿り着いたのがこの村だったって言うのがもう驚きで——。」
NPOの活動以外にも、東京で一緒にスタッフをしていた仲間たちと奥会津にたまに遊びに来ることがあったそうですが、当時は全く移住するとは思ってもみなかったと笑顔で話します。
——「ここは福島県なんですけど関東圏とも近いので、この地域で暮らしながら関東とも行き来できるかなって、安易な気持ちもあったんですけど——、伊南村に戻ってきました。」
冬が厳しい分、
春、夏、秋の恵みが深い
酒井さんのところにインタビューに訪れた時、奥会津では厳しい冬の訪れを知らせる雪がちょうど降り始めました。「——やっぱり冬は厳しいですね。」そう言って奥会津の暮らしについて教えてくれました。
——「寒さだけではない雪の厳しさを実感して——。雪が深い時は一日雪片しをしたりとか、物が凍らないように気をつけるとか、怪我しないように気をつけるとか、運転も気をつけるし、とにかくいろんなことが冬は厳しくて——、ただそれの裏返しで春、夏、秋の恵みが深いので——。」
冬の厳しさがある反面、四季の自然の恵みについて、続けてこう話します。
——「寒さだけではない雪の厳しさを実感して——。雪が深い時は一日雪片しをしたりとか、物が凍らないように気をつけるとか、怪我しないように気をつけるとか、運転も気をつけるし、とにかくいろんなことが冬は厳しくて——、ただそれの裏返しで春、夏、秋の恵みが深いので——。」
冬の厳しさがある反面、四季の自然の恵みについて、続けてこう話します。
豊かだなぁと思う瞬間がある
——「身近な恵みが自分の生活の一部にあるっているのがすごくありがたいなぁって思いますね。——なかなか自分で山菜採りに行ったりキノコ採りに行ったりできないんですけど、おじいちゃんに連れて行ってもらったり地元の人に山に連れて行ってもらえると——、豊かだなぁって思う瞬間があります。」
——「寒い地域だからこそ、食の知恵がいっぱいあって——。」
漬物や保存食、麹を使った料理など、雪国だからこその食の知恵に大きな魅力を抱いた酒井さん。単身時代は東京から友達を呼んで、桧枝岐村〜只見町の知り合いのおじいちゃんおばあちゃんの作ってくれたものを食べ歩く「奥会津食街道ネットワーク」なるものを行なっていたと、当時を振り返りながら嬉しそうに話してくれました。
——「寒い地域だからこそ、食の知恵がいっぱいあって——。」
漬物や保存食、麹を使った料理など、雪国だからこその食の知恵に大きな魅力を抱いた酒井さん。単身時代は東京から友達を呼んで、桧枝岐村〜只見町の知り合いのおじいちゃんおばあちゃんの作ってくれたものを食べ歩く「奥会津食街道ネットワーク」なるものを行なっていたと、当時を振り返りながら嬉しそうに話してくれました。
節[せつ]と
ともに生きている
——「伊南らしさって何かなぁって思った時に、季節ごとの営みが暮らしに根付いてるというか、季節と共に生きている——。1分1秒とか、そういう時間の単位じゃなくて、その節(せつ)、節ってよく言うんですけど、節と共に生きてるっていうか、そういうのを感じます。」
——「節って言うんですよね、例えば、”蒔く節だから”とか、”刈り取る節だから”って、節目節目をそういう風に言うんですよね。」
「時は金なり」と、好きなことに全力で時間を費やし、何事もがむしゃらに取り組んできた20代。こうした暮らしの中で、当時とはものの見方や感じ方も変わり、時間に対する価値観も変わっていきました。
——「いまある季節や自然と向き合う暮らしの中で豊かさを見つけたい——。」
そうした自然と調和したやりがいや生きがいを感じるようになった気がすると、奥会津らしさをそのようにも語ってくれました。
——「節って言うんですよね、例えば、”蒔く節だから”とか、”刈り取る節だから”って、節目節目をそういう風に言うんですよね。」
「時は金なり」と、好きなことに全力で時間を費やし、何事もがむしゃらに取り組んできた20代。こうした暮らしの中で、当時とはものの見方や感じ方も変わり、時間に対する価値観も変わっていきました。
——「いまある季節や自然と向き合う暮らしの中で豊かさを見つけたい——。」
そうした自然と調和したやりがいや生きがいを感じるようになった気がすると、奥会津らしさをそのようにも語ってくれました。
この地域で
生まれ育ったことに
誇りを持ってほしい
——「いまの子ども達に向けては、この地域で生まれ育ったことに誇りを持ってもらいたいなって思います。——この土地を一度は離れる子が多いんですけど、そういう子たちが離れた時に、やっぱり南会津、伊南で生まれ育ってよかったなって思ってもらいたいし、自信を持って世の中に出てってもらいたいなって思います。」
——「戻ってくる子たちも、生活しながらもしかしたらこの土地の良さとか魅力に改めて気付くのかもしれないし、離れていった子たちが、離れたからこそこの土地の魅力に気付けるんじゃないのかなって——。」
18歳で徳島県を離れ、オーストラリアに滞在するなど様々な経験を積み重ねてきた上で、改めて故郷の良さに気付いたと話す酒井さん。自分自身の体験を通して、次世代にはもっと自分の生まれ育った土地の良さに気付いて欲しい——、そんな思いを託します。
取材:2021年12月
——「戻ってくる子たちも、生活しながらもしかしたらこの土地の良さとか魅力に改めて気付くのかもしれないし、離れていった子たちが、離れたからこそこの土地の魅力に気付けるんじゃないのかなって——。」
18歳で徳島県を離れ、オーストラリアに滞在するなど様々な経験を積み重ねてきた上で、改めて故郷の良さに気付いたと話す酒井さん。自分自身の体験を通して、次世代にはもっと自分の生まれ育った土地の良さに気付いて欲しい——、そんな思いを託します。
取材:2021年12月
動画では、ここで紹介した以外にも移住までの詳しいエピソード、奥会津での日常や四季の豊かさなど、さらに詳しいインタビューも収録。ぜひご覧ください。