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玄関を開けたときの景色を見て、
ずっとここにいるって思った

古民家ゲストハウスとある宿 あるじ
Kanke Mayumi
千葉県出身。旅行会社に勤める中、友人の紹介で奥会津の昭和村に出会い、夢であったゲストハウス「とある宿」を開業。お客様と垣根のないアットホームな時間を提供。

週末行ったくらいじゃ味わえない

学生時代から海外旅行に興味があり、ボランティア経験やバックパックを背負い海外を旅した経験から、その感動を伝えられる海外旅行専門の会社に勤めていた菅家さん。

四国でのお遍路さんの体験をきっかけに日本の楽しさに気づき、日本の田舎の良さも多くの人に伝えたいと思ったことが、菅家さんが国内に興味を向けたきっかけでした。

それから友人の紹介で昭和村へ行ってみると、想像以上に田舎だったことや地域の人の純粋さから昭和村に興味を持ち始めました。週末などを利用して通う中、「1年ぐらい区切って住んでみると面白いかも——。」と思い始めたそう。


昭和村に通っていた時と、住むようになってからではどのように印象が変わったのかを尋ねてみました。

——「生活するとなると地域の人がすごく関わりを持ってくれて——、朝6時頃とか差し入れをくれたりとか、風邪を引いてたらあったかいおうどんを持ってきてくれたりとか——。そういうのはちょっと週末行ったくらいじゃ味わえないありがたさというか、人との繋がりの感動した部分ではあったので——。」

週末に通っていた時では感じることのできなかった人との繋がり、毎日の景色の移り変わりを、住んでみることによって感じることができるようになったと言います。

玄関を開けたときの景色を見て、

ずっとここにいるって思った

——「移住して玄関を開けたときの景色を見て、私もうずっとここにいる!って何回か思ったんですよね。——本当にいいところだなぁ。ずっと居たいなぁっていう思いはありましたね。」

まずは1年住もうと考えていた菅家さんを引き止めたのは、奥会津の原風景と、自然と共に暮らす人々の温かさでした。仕事や収入面での不安はありながらも、それに勝るほど「ずっと居たい」という思いを抱いたそう。

——「移住してちょうど1年経った頃にゲストハウスの話が立ち上がったので、まさかここで夢が叶うなんて——と、夢が叶うならずっといたいと思って。」

夢が叶えられるっていうわくわくばかり

昭和村で「とある宿」という古民家ゲストハウスを営む菅家さん。学生時代にしたバックパッカーの旅では、既にアジア圏に多くのゲストハウスがあり、それを見ていつか自分でゲストハウスを運営したいと夢見ていました。そんな中、四国で経験したお遍路さんの旅などを通して「田舎の空き家を利用してゲストハウスをしたい」と閃いたそうです。

当時、日本では浅草などの観光地にゲストハウスがあったため、都心でゲストハウスを運営することも一度は考えたものの、そこに来る旅人は観光地的なものを求める人が多い。しかし、「田舎にゲストハウスを作れば、その田舎の美しさや暮らしの体験などを目的に来る旅人が中心となり、地域の魅力を発信できる。」そう思いました。

昭和村に住み始めた頃、美味しい水や空気だけでなく、その地に根ざした人々の文化に日々感動し、その魅力をゲストハウスを通じて発信したいと強く思っていた菅家さん。

昭和村で空き家の利活用の話が持ち上がった時、お遍路さんの旅で願った夢が、具体的に叶うかもしれないと思った瞬間だったそうです。

——「昭和村に来たときに、いよいよ自分が思っていたものが現実のものになるかもしれないってわくわくして。ここで自分の夢が叶えられるんだなっていうわくわくばかりでしたね。」

結局助けてくれるのも地域の方

「地域の方あってのゲストハウス」——ゲストハウスの運営は、地域の方からの応援もある一方で、問題が生じた時は悩むこともあると言います。

——「どうやってこれを乗り越えたらいいのかなって、悩むことはあるんです。そういった時も応援してくれている人に相談すると『こうすればいいんだ』とか『自分をしっかり持っていれば問題ないんだ』とか、結局助けてくれるのも地域の方で。東京の生活では得られなかった教訓みたいなものを、地域の人から教えてもらっている気がしますね。」

続けて、奥会津にはあって都市部にはないものについて尋ねると、「年代を超えた地域の人たちとの繋がり」だと、このように話してくれました。

——「東京の生活だと友達か家族かの関係だったのが、そこに近所のおじいちゃん、おばあちゃんていう年代の人たちが入ってきて——。夜私がトイレの電気を消し忘れて寝ちゃった時も『あそこ(電気)付いてたぞ』って次の日言われたりとか(笑)。『田舎は監視の目だね』って都会の生活では言われがちだったことも、もし急に倒れても気づいてくれるかもしれないって逆に温かい感じになって。そう言った感覚は都会暮らしではなかったので、ありがたく感じていました。」

いろいろな場所に行って、
いろいろなものを見て、
昭和村に戻って来たいと思ってもらえたら嬉しい

菅家さんは、他の地域から昭和村に移住したからこそ、奥会津らしさや魅力に気づいたと言います。そんなご自身の経験も踏まえた上で、このようなメッセージを伝えてくれました。

——「いろいろな場所に行っていろいろ見て来て、その中でまた奥会津に戻って来たいと思ってもらえたら嬉しい。とにかく色々な経験をして——、その中で自分たちの地元の魅力に気づけたのなら、戻ってきてもらいたいと思います。」

——「地元の人が一回出て行って戻ってきたり、孫ターンでもそう。地域の良さを知って、戻ってきた人の方が活躍しやすいというか、より大きな活躍ができるんじゃないかなというのはすごく感じている——。いろんな経験をして戻ってきた時に、すごくやりたいことが実現できる場所になったらいいなと思います。」

海外旅行専門の会社に勤め、海外の素晴らしさを伝えていた経験を持つ菅家さんは、今では日本の田舎の素晴らしさを訪れた人たちに伝えています。そして、また訪れたいという人、そして次世代の奥会津を担う子供達が大きくなって戻ってくることを、その場所で待っています。

取材:2020年10月
動画では、ここで紹介した以外にも菅家さんが好きな奥会津の季節や暮らしぶりや「とある宿」のことなど、さらに詳しいインタビューも収録。ぜひご覧ください。
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