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いろんな価値観の
生活スタイルがある

JA会津よつば昭和営農経済センター
営農係 主任
Honna Hiroyuki
昭和村出身、JA会津よつば昭和営農経営センター営農係主任。現在、国が認める地域ブランド「地理的表示保護制度GI」認定の「昭和かすみ草」のかすみ草部会の事務局を担う

「昭和かすみ草」の存在が奥会津に住み続けたい想いにさせる

現在、JA会津よつば昭和営農経済センターの営農係の主任を務め、花の販売を担当する本名さん。昭和村出身の本名さんは、かすみ草に関わる仕事がしたいという想いから、高校卒業後JA会津みどり(※)に就職し現在に至ります。

「実家が米の兼業農家でして、幼い頃から家族の手伝いをしていたので、農業への興味はありました。親が季節雇用の臨時職員で農協(※農業協同組合の略)に勤めており、かすみ草の集出荷作業を手伝っていたので、『昭和村にはこういう産業があるんだ』と知ったのが最初でした。

その頃からかすみ草に少しずつ興味を持ち、私もかすみ草に関わる仕事がしてみたいと思ったのが農協に勤めることになった経緯です」

本名さんは、昭和村を代表する産業である「昭和かすみ草」の存在こそが「奥会津に住み続けたい想いにさせる」と語ってくれた。


※平成28年に会津地方の4つのJA(会津いいで・あいづ・会津みなみ・会津みどり)が合併し、「JA会津よつば」となる。

きれいに咲き誇る「昭和かすみ草」の魅力

主にかすみ草の販売を担当する本名さんは、「かすみ草部会」の事務局を1人で担当する。

「私の担当している部会は、奥会津4町村(昭和村を中心とした柳津町、三島町、金山町)の約90件のかすみ草栽培農家さんで構成されている部会です。昭和かすみ草は令和5年度の販売実績が約6億5000万円で、昭和村だけですと約4億6000万の大変大きな金額の販売金額となっています。また、市場については、北は仙台から南は福岡の花市場まで全国27市場に出荷させていただいています」

花本来の魅力は「この地域だからこそ培ってきたもの」だと本名さんは語る。

「昭和かすみ草は夏秋季の産地で、主に6月から11月までに出荷します。夏場の出荷がメインですけど、やはり冷涼な気候を好んでいるというのが特徴なんです。比較的奥会津は涼しいので、昭和かすみ草がここまで培ってきた一つの要因が環境面だと感じています。初夏から晩秋にかけて、無数の花々が綺麗に咲き誇っている光景は本当に魅力的です。」

本名さんは、かすみ草の栽培に関してとても特徴的な点があるのだと話す。

「収穫中は雨にも当ててはいけないということでハウスが必要なんですが、昭和村は雪が多く降るので、雪が多いとハウスが潰れてしまい、また骨組だけ残しても春の雪解けの影響で潰れてしまう可能性があります。かすみ草農家さんは本当に大変なんですけど、毎年秋にはハウスを解体して、また春に再建するといった作業が奥会津での大きな特徴かなと思います」

特別豪雪地帯である昭和村では、冬を乗り越えるための知恵を絞り、また雪を有効活用させる施策として「雪室」の稼働を充実化させている。

「かすみ草の収穫後は『雪室』と呼ばれている施設にかすみ草を入れていきます。たくさんある雪を有利に転換しようということで、10トントラックおよそ300台分の雪を使った大きな冷蔵庫のような施設です。雪室はかすみ草を乾燥せずに潤いを保つことができる優秀な施設で、その管理を私が任されています」

昭和かすみ草は令和5年に「地理的表示(GI)保護制度」の認証を受けており、地域ブランドとして認めてもらったことに大きな喜びを感じていると話してくれた。

それぞれの価値観や
ライフスタイルに合わせた仕事ができる

「生活スタイルにはいろいろな価値観がある」と本名さんは話す。

「奥会津のように自然豊かな地域でゆったりと過ごしたい方もいますし、かすみ草栽培を頑張ってたくさん稼ぎたいという想いの方もいらっしゃると思います。地域の担い手が少ない状況にある奥会津では、担い手として頑張ってもらっている移住者の方もいて、普請や消防団に加入していたり、地域のみんなと一緒に生活しているのが奥会津の特徴なのではないかなと思います。

また、かすみ草だけでなく、織姫制度が始まってからは村外の影響や様々な価値観も生まれてきたように感じます。昭和の良さを知ってくれている人たちが来てくれるので、地域内の交流が生まれるんだと思います」

かすみ草栽培だけでなく、奥会津での冬は別な仕事などにも従事して生計を立てる方もいると話す本名さん。一つの形に留まらないのが奥会津のライフスタイルである。

人との関わりとサポートがあって成り立っている

「奥会津は人付き合いが強い地域です」

その人付き合いが「奥会津らしさ」だと本名さんは話してくれた。

「良い面、悪い面もちろんあると思いますが、悪い面はほとんどないと思っています。奥会津の人たちは本当に温かい人が多いんです。都会とは全く違う感覚だと思いますが、農協で仕事をしていても、生産者の方からのサポートもあり、農協からのサポートがありできている部分が多いです。いろいろな方のサポートがあってできることがあると思っています」

サポートされることのありがたさを語ってくれた本名さん。最後にこう続ける。

「新規就農者の受け入れは拒まれる傾向もありましたが、今は求められる時代です。人が少ないとは言っても、一人ひとりが温かく、地域内外の人が好いてくれている地域だと思っています。私もかすみ草担当としてこれからも皆さんを全力でサポートしたいと思っています。」

昭和村にとって欠かせない一大産業となった「昭和かすみ草」———。
それと同時に、本名さんもまた欠かせない存在であると言える。

かすみ草の振興が与える影響により、村全体が活気に満ち溢れた地域となるのは間違いない。

動画では、ここで紹介した以外にもご自身の仕事の魅力や大切にされていること、奥会津の暮らしの好きなところなどさらに詳しいインタビューも収録。ぜひご覧ください。
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